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特集

織の共演
織楽浅野の帯と
本場奄美大島紬

本場奄美大島紬協同組合
創立120周年

120周年記念式典と求評会

2021年10月25日 (月)、日本きものシステム協同組合(以下JKS)一行は、本場奄美大島紬 協同組合創立120周年の記念式典に出席しました。受付ではPCR検査陰性証明を出し、検温を済ませて会場へ。本来であれば、懇親会が計画されていましたが、コロナウイルスの感染拡大に対する最大限の注意を払っての開催となり、短時間のうちに終了しました。
翌26日(火)は、求評会に参加。各機屋さん渾身のすばらしい作品をじっくり眺めて投票し、各店好みの大島紬をそれぞれに仕入れ、工房取材、対談と充実した時間を過ごし、大島紬の魅力を改めて確認しました。

  • コロナウイルス感染対策を万全に、静かな式典。

  • ずらりと並んだ素晴らしい作品。

理事長対談

  • じっくり眺めた後、投票。

求評会の合間を縫って、本場奄美大島紬協同組合の理事長 牧 雅彦氏と、JKS理事長(当時) 佐々木英典、現理事長の武内孝憲の三人の対談が行われました。 牧理事長は、3年前の5月に理事長に就任し、20年に1度の大事業である120周年事業を控えて献身的に活動をしてきました。かつて一世を風靡した大島紬ですが、現在は生産数の激減、作り手の不足という課題を抱えています。

――佐々木
博多では後継者育成の 専門学校をつくっていて地元の大手企業が応援しているようですが……。

――牧
後継者育成事業は奄美大島でも行っているのですが、生徒は少ないです。先生のお給料は行政が応援をしてくれていますが、従事者の賃金を上げる努力も同時に必要です。

――武内
従事者の方々の年齢は……?

――牧
ご想像のとおり、高齢化が進んでいます。25名の織工さんの平均年齢は77歳。最高齢が89歳です。

――佐々木
賃金を上げるためには大島紬の価格を上げなければいけないということになりますか。

――牧
例えば、某大手メーカーのダウンジャケットなどは全国どこの店で購入しても価格が同じですので、産地希望価格ということも必要になってくるのかもしれません。

――武内
商慣行改善の努力をお互いにしていく必要がありそうですね。リスクを互いに分担し合い、永続的に大島紬の生産が続けられるような……。

――佐々木
日本の大切な財産ですから。

――牧
今回、120周年ということで、JKSの皆さまにもこうして、奄美大島へお越しいただきましたが、折しもここ、奄美大島はご存じのとおり2021年7月に世界自然遺産に登録され、良いニュースが重なりました。昨今は大島紬の名前を知らない人もいるようですので、これを機会に、もっと若い方々にも大島紬を知ってもらうための努力をしてまいりたいと思っております。小売店の皆さまからはもっと情報をいただけたらと思います。

――武内
産地の皆さまの思いやご努力が、着物ファンに届くように、大島紬の魅力や着心地の良さの伝え方をさらに工夫し、今後も産地と真摯に向き合っていきたいと思います。今日はありがとうございました。

本場奄美大島紬技術専門学院の生徒さんへインタビュー

JKSの若手が、織工を志す直田みどりさんにインタビューをさせていただきました。

――JKS
どうして織工になろうと思ったんですか?

――直田
営業職をしていたので、機織りをしている人や、していた人のお話を聞くことが多かったのですが、そろそろ仕事を辞めて家の中でできる仕事を探していたんです。

――JKS
いつから習っていらっしゃるんですか?

――直田
2021年の3月で前職を辞めて4月からここで習っています。

――JKS
もう織ってるんでしょうか?

――直田
はい、先日一反織り上げました。

――JKS
織り上げた反物は……?

――直田
自分のにしようと持ち帰りました。何かこれで作らなきゃ。(笑)

――JKS
どんなのを織ったんですか?

――直田
お恥ずかしいですが、十字絣の大島紬で……、三人一緒に学校に入ったんですが、織り上がったのはつい先日の9月半ばで、私が一番遅かったです。

――JKS
何年勉強なさるんでしょうか?

――直田
2年間のカリキュラムなんです。

――JKS
つらいこととか……?

――直田
少しずつ楽しくなってきたところなのですが、調整がうまくいかなくて……、もう一人の子はものすごく楽しいって言ってます。私はそこまでいってないのですが、好きになってきたので……

――JKS
一番難しいのはどんなことでしょうか?

――直田
絣を合わせることですかね~。織りは、布の張りと調整ができないとうまくいかないというのは分かるようになってきたんですが、身体で覚えなさいって言われます。

――JKS
将来の夢とかってありますか?

――直田
できるだけ長くこの仕事をしたいです。80歳くらいまで織りたいです。あと、もっと若い子も織工になれるシステムや収入があるといいですよね。

――JKS
子育てが終わった頃から着物が楽しくなるんですよね。

――直田
私もそうでした。多くの人に大島紬をつくってもらって着てもらいたいと思います。

――JKS
ますます、我々が作っている人たちの気持ちや努力を伝えていかなきゃって思います。ところで二反目は……?

――直田
12月には織り上がる予定です。

――JKS
がんばってください。応援しています。

本場奄美大島細協同組合青年部

本場奄美大島紬協同組合青年部の部長で、本場奄美大島紬体験テーマパーク夢おりの郷の社長 南晋吾さんに、旧知の仲の、JKS理事長の武内孝憲がインタビューをしました。

――武内
きものサローネにもう何年も出展していますよね。先日もお疲れさまでした。

――南
きものサローネの会場では、奄美で大島紬をつくってくれたお客さまでしつけ糸がついたままで着せてくれとか、サローネで大島紬デビューとか、一緒に写真を撮ったりして喜んでいただいた方もいるので、ファンの方々の着る場の提案の一つにもなっているのを実感できてうれしかったです。

――武内
青年部長になられ何か始められたとか?

――南
ネクストプロジェクトですね。若い職人を守り育てる仕組み作りをするための企画です。若い織工さんたちに仕事を回していけるような仕組みをつくりたいと思ったんです。ベテランでも高い工賃をもらっているわけではないので。

――武内
海外にも視野を広げていますよね?

――南
パリ、ニューヨーク、ミラノと3年の事業で、1年目はマーケティング調査が主な目的で、アパレル関係の方々と商談させていただきました。半年前のものが、もう古いといわれるアパレルの世界を知りました。コロナもあってなかなか商談には結びつきませんが、「生地」としてのやりかたはあるかなと……。

――武内
ファブリックとして進めるならフランスがいいかもしれないですね。

――南
いろいろなやり方があると思っています。異業種とのコラボレーションも視野に足元も固めていきたいと思っています。注文をもらっても作り続けられなきゃしょうがない。継続できる状況を作っていきたいです。

――武内
日本の伝統産業は皆、共通の課題を抱えていますね。手仕事、職人仕事の価値を分かってもらうための情報発信も必要ですね。

――南
産地へ来てもらうこともさることながら、SNSなども活用していきたいと思っています。私のブログを読んで連絡をくれた人もいるんです。大島紬の仕事に興味があると。

――武内
我々も、小売の立場でどうやって産地を守っていけるか? もっと物づくりの人たちに自分たちから近づいていかなければならないと思っています。

夢おりの郷で本場奄美大島紬の工程を見学させていただきました

  • 原図を、使用する糸の密度に合わせて織物用の図案に書き換えます。曲線もすべて絣の点に置き換えられます。

  • 整経し、12本ずつまとめ、海藻(イギス)で糊付け、糊張りをして絣締めの準備をします。

  • 糊貼りした糸を、大島紬最大の特徴である締め機にかけ、図案どおりに木綿の糸でキツく締め絣筵(かすりむしろ)を織り上げます。

  • 地糸、絣筵を、二日間かけて煮出したテーチ木(車輪梅)の染料で約30回ほど、染めたり干したりを繰り返します。

  • タンニン酸をたっぷり含んだ茶褐色のテーチ木の染料。

  • テーチ木で染めた地糸と絣筵を鉄分を豊富に含んだ泥田で媒染します。

  • 絣筵を丁寧に解いて、紙糸を取り出し、機にかけます。

  • 数センチ織り上げては、針で絣のわずかな狂いを調整する「絣調整」を繰り返しながら、1日10センチ程度織り進め数カ月かけて織り上げます。

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