特集
なごや帯 かたち
職人さんにとって道具は命。独自の道具があるからこそ、生まれ出る形、表現があります。代々続く竹べらの数々が引網さんの仕事を支えています。並べられた姿に美しさと抽象的な表情を感じ、帯にチャレンジした作品。
なごや帯 千代見草
お菓子の持つ透明感ある表情、内からにじみ出る色彩を織物でも。色糸をサンドイッチにして内から見えるよう織り方を工夫をし、軽やかな空気感を表現しています。
互いの作品に大いに刺激を受け、インスパイアされて新しい作品が生まれるという楽しい循環。打ち合わせをする二人は、次々に発想が広がり、話は尽きません。
編集部が富山の引網香月堂を訪ねた時の仕事ぶりも。
浅野さんは出会いの時のことをはっきりと憶えているといいます。「引網香月堂四代目、引網康博氏とは2017年、富山の呉服店牛島屋の『継承展』でお目にかかり、そのお仕事にふれ、継承を願うにふさわしいお菓子『千世見草』を頂戴した時に、とても感激しました。技術の高さ、表現の豊かさ、美味しさのすべてに満足するお仕事でした」と当時を述懐。
千代見草の友禅のような美しさや、かわいらしい色が内側からのぞくニュアンスにたいそう刺激を受けた浅野さん。それから二年越しで二人は互いの作品からインスパイアされたお菓子と帯の展示会を再び、牛島屋で開催することに。