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オウチ時間が増えた夏、ちょっとそこまでの買い物もマスクをしての外出もおしゃれをあきらめたくないから、、ワンピース感覚でポジティブな気持ちに華やぎを添えて夏を素敵に過ごしましょう。
浴衣は湯帷子の音便で、入浴の際に用いられた単衣の着物のことです。白麻で明衣ともいわれました。
江戸末期になると武家では湯上がりに、手拭いを用いず、浴衣を着用して肌を拭いました。この頃には生地は麻から木綿へと替わり、徳川家斉の入浴には仕立て下ろしの湯帷子を七~八枚用いたという記録があります。
庶民は家の風呂はもとより銭湯もない頃、ごくまれにお寺の浴堂を利用させてもらっていました。その頃湯帷子を嫌った庶民の間で、入浴専用のふんどしや湯文字(腰に巻く布)が生まれています。
元禄になると、浴衣には色や柄が付けられて少しずつ入浴用ではなくなっていきます。
鈴木春信の「髪洗う二美人」、鳥居清長の「大川橋下の遊船」、喜多川歌麿の「湯上がり化粧美人」など浮世絵には浴衣姿の美しい女性が数多く描かれています。この頃はもっぱら有松絞が主流。江戸末期になると、夕方から始まる夏芝居の、二番目の開く前に茶屋へ戻って食事をする際に浴衣に着替えるようになりました。その頃から浴衣の色柄におしゃれなものが出始め長板中形染の粋なものが流行していきます。
役者も、園十郎は三升、鎌輪奴、菊五郎は菊五郎格子、斧琴菊など、思い思いの柄を別注し、楽屋着としていました。
庶民の間でも、湯上がりや夕涼みのひとときの着物としてどこの家庭にも広まり、やがて、夏の祭や花火には欠かせないものとなりました。そして令和の夏個性を発揮する夏のファッツョンアイテムとしてますます注目されています。