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特集

秋のおしゃれはときめいて
歌舞伎俳優六代目片岡愛之助
花布季

永楽館を皮切りに、早替わりに次ぐ早替わりに挑戦

鯉つかみ

<鯉つかみあらすじ>
琵琶湖に棲む鯉の精が武家の釣家に恨みを持っていて、釣家の小桜姫が一目惚れをした志賀之助という恋人に化けて姫に言い寄り、たぶらかします。そこへ本物の志賀之助が現れて、本性を現した鯉と水の中で大立ち回り!死闘の末に、みごと仕止め、紛失の竜神丸の宝剣も手に入れ、めでたく小桜姫と祝言をあげることに。

愛之助さんのファンならずとも、大阪松竹座のポスターがご記憶にある方も多いのではないでしょうか。話題になった『鯉つかみ』の十二役。12人の登場人物のすべてが愛之助さんという、いつまで眺めていても飽きない迫力あるポスターでした。
本水を使って、鯉の精と大格闘を演じるのが見どころの狂言で、2012年の永楽館歌舞伎で初演。本水を使った演出は、愛之助丈はかねてより演じてみたかったとのことですが、いかんせん水が問題でした。
永楽館の舞台に大きな水槽をはめ込むという大がかりなことに、豊岡市長をはじめ地元の皆さんが尽力。翌年五月には東京の明治座でさらに宙吊りの演出を加えて再演。永楽館、明治座で再演を繰り返す中、博多座で一人二役、そして六役、さらに・・・・とついに大阪松竹座では十二役に挑戦。愛之助丈の代表作のひとつとなりました。
歌舞伎の醍醐味が詰まったエンターテインメント性に富んだ鯉つかみ。滝をのぼり龍になる勢いあふれるそのさまを、大胆に背いっぱいに施したダイナミックな着物です。
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