特集
協力:松竹株式会社、豊岡市
舞台写真:カメラマン 井川由香
商品協力:ウライ株式会社
モデル・商品写真:タカヤコーポレーション
着付け:羽尻千浩
ヘアメイク:添田麻莉
モデル:四位笙子、RIN
ロケ地:京都梅小路公園
花と舞い、季を遊ぶ。
着物の楽しさを提案し、その未来を”愛”と”絆”で結ぶ。
六代目片岡愛之助丈監督の着物や帯に注目が集まっています。
歌舞伎の演目や衣装に学び、
愛之助丈の美意識やセンスがたっぷりと詰まった人気ブランド「花布季」。
おしゃれが一番楽しくなる季節が
もっと楽しくなる歌舞伎と着物の特集です。
歌舞伎を一度も見たことがないごく普通の少年が、歌舞伎を初めて体験したのは舞台の上でした。テレビなどで「子どもたち」の役をいくつかこなしてはいましたが、初舞台は、当時、道頓堀にあった中座。初役は『与話情浮名横櫛』の丁稚三太で、主役は十二代目市川團十郎丈(当時海老蔵)、三太役の少年が、提灯を持って一緒に登場したのは和泉屋多左衛門役で、後に叔父となる十五代目片岡仁左衛門丈(当時孝夫)でした。
楽屋ではおじさんやおにいさんだった人たちが舞台で美しい女性になっていたり、舞台が回ったり、上がったり下がったりと驚きの連続だった少年。さながらそこは遊園地のようで、話の筋など分からないうちに歌舞伎の不思議な魅力に引き込まれてしまったようです。
そうこうしているうちに、少しづつ勉強が遅れてきたこともあり、そろそろ学業に専念しようかと親子で決めた矢先に「歌舞伎が好きか?」と聞いてくれたのが、先だって惜しまれつつ天国へ旅立った片岡秀太郎丈。後に養子縁組をして養父となるその人でした。
「歌舞伎が好きです。」「はい、やりたいです」と答えた少年は、秀太郎丈の父で十三代目片岡仁左衛門丈の部屋子となり、本格的に歌舞伎座の世界へ足を踏み入れることになりました。
弟子としての仕事をこなしながら日本舞踊を習い、十三代目仁左衛門丈、やがて父となる秀太郎丈の楽屋で過ごし、片岡千代丸としての初舞台は京都南座。勧進帳の太刀持でした。歌舞伎に魅せられた少年は、たくさんの芝居に出て、たくさんの芝居を観て過ごしました。
現在、歌舞伎の舞台を精力的にこなしながら、歌舞伎以外の舞台や映画でも大活躍。テレビドラマではオネエの国税局査察部統括官を見事に演じきって話題になったり、NHK大河ドラマでは歴史上の人物を次々に演じ分けました。さまざまな場面で、個性的なキャラクターを見事に演じ分ける実力と端整な顔立ち。CMでもシリアスな表情からアニメキャラまで姿を見ない日はないという活躍ぶりは読者の皆さまもよくご存じのとおりです。サービス精神旺盛な気さくな人柄で、次々に新しい姿を見せて驚かせてくれる愛之助丈の、今後の活躍が楽しみで仕方がないというファンの方も多いのではないでしょうか。
そんな大活躍の合間を縫って、愛之助丈が監修している着物や帯のブランド花布季は、実は兄と慕う坂東三津五郎丈は、まだ大きなお役のつかない愛之助丈を食事に誘ってくださり「真面目にずっとやっていたら、きっと誰かが絶対に見てくれているから、真面目にコツコツと頑張りなさい」と力づけてくれたこともありました。三津五郎丈亡き後、このブランドを受け継いだ愛之助丈。これからの歌舞伎をよくできれば!という強い決意とともに、このブランドをさらに充実したラインナップへとコツコツと育て上げています。
愛之助丈は、演目や衣裳から想を得るだけでなく、各方面で幅広い活躍をしているからこその、独特のセンスや美意識で、新しいデザインや色を監修しているのです。花布季の着物を身にまとい、客席で観客オーラを出して観劇をしていたら、舞台の上の愛之助丈と、もしかしたら目が合うかもしれませんね。
<祗園祭礼信仰記あらすじ>
天下をもくろむ松永大膳によって金閣寺に囚われた足利将軍の母と絵師雪村の娘雪姫。
救出に向かう小田春永の部下の此下東吉。
大膳は雪姫に横恋慕をしていて、金閣寺の天井に龍の絵を描くか、自分になびくか?と大膳は雪姫に迫りますが、大膳は父の敵と斬りかかる雪姫。怒った大膳は雪姫を桜の木に縄で縛り付けます。
桜吹雪の中、絶体絶命の危機がおとずれますが、雪姫は祖父である雪舟が、自分の涙を使って足の指で鼠を描いて、起こした奇跡を再びと願いを込めて、足で桜の花びらを集めて鼠を描きます。するとその鼠が動き出し、雪姫の縄を食いちぎって雪姫は自由になります。京の名勝金閣寺を舞台に繰り広げられる桜花爛漫の歌舞伎絵巻です。