特集
大人をすてきにまとう褒められスタイルで、街の華やぎにも、
静かな佇まいにもスーッとなじむのがうれしい。
長い歴史の中で培われた豊富な織技術を駆使した、
誇りある最高峰の物づくりと、さらなる高みを目指して挑戦を続ける老舗。
洛陽織物は、創業から160余年を数える西陣でも屈指の老舗織元です。天保元年(1831年)頃に、初代井筒屋萬助(滋賀萬助)が近江国滋賀郡より入洛し、西陣にて織司「井筒屋」を興しました。明治31(1898)年には、三代目滋賀辰之助が今の洛陽織物の前身である帯屋「滋賀辰機業店」を創業。明治、大正期には全国特産品博覧会などでたびたび表彰され、その技術の高さを確立しました。戦時躁業を経て四代目滋賀辰雄は昭和24(1949)年「洛陽織物株式会社」に法人化し、昭和31(1956)年に「西陣織工業組合」の理事長に就任、以後28年間の長きに渡り務め、自社の発展のみならず「西陣織」の発展に大いに貢献し、日本の伝統産業をもリードしてきました。長年の西陣産地での功績により天皇皇后陛下への拝謁もかない、平成10(1998)年には創業100周年を迎え、老舗の名を揺るぎないものにしました。平成13(2001)年には京都府から「京の老舗」の認定を受けました。
そろそろ、お子さま、お孫さまの七五三のことをお考えの方も
いらっしゃることでしょう。誂えで加賀友禅の衣装をお作りになるなら
最低でも1年前から近所の呉服店にご相談ください。
七五三とは
「七五三」は、十一月十五日に数え三歳、五歳、七歳の子どもに晴れ着を着せ、健やかな成長に感謝し、祈願するために産土神様(氏神様)などの神社へ参拝する行事です。「七五三」と呼ぶようになったのは江戸時代からで、公家や武家ばかりでなく庶民も祝うようになったのは明治時代からといわれています。 地域によって「七五三」とは言わずに「紐落とし」という呼び方をすることもありますし、数えではなく満年齢で行うところもありますので、どうしたらよいか分からないときは近所の老舗の呉服店や神社などにシンプルに尋ねてみるとよいでしょう。「七歳までは神のうち」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。国中が貧しく医療も乏しかった頃、出産や子育てはとても困難で、無事に成長することのできない子もたくさんいました。それだけに子どもの成長を願い、祝うことには今以上に熱心で、たくさんの祈りや願いを込めて、節目毎にきちんと祝い、縁起の良い物事にこだわったのでしょう。 時代は変わっても、記念撮影だけが七五三ではありません。元気に成長していることは神様にお守りいただいたということ。きちんと神社でお参りをしたいものです。神社でお参りをするときには「御初穂料」と濃い墨でしっかりのし袋に書いて、その下には子どもの名前を書いて持参します(神社によって金額が決まっている場合もあります)。
七五三の由来
三歳の祝いは、平安時代から行われていた「髪置きの儀」に由来します。多くの子どもが三歳までにその尊い命を失っていた頃、稚児の剃り上げた髪型で厄を祓っていたところから、髪を伸ばし始めて大人の髪型へと向かうめでたい行事でした。五歳は「着袴の儀」でこれも平安時代の公家の行事で、初めて袴を着用します。皇室の行事で基盤の上から宮様が袴を着け飛び降りる様子をテレビ等でご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。 七歳は室町時代の頃から行われていた「帯解の儀」というもので、紐で着けていた着物に初めて大人と同じように帯を締める行事に由来します。
七五三の衣裳
七五三は、記念写真や家族写真を残すための行事ではなく、子どもの成長を祝い、願う大切な儀式です。衣装に絶対の決まりがあるわけではありませんが、大きな節目のひとつとしてふさわしい、晴れやかでおめでたい装いにしてあげたいものです。神社へ参拝して祈願をした後は、食事会、披露宴、記念撮影などを行います。地域によっては、親類、ご近所を招いての大きな行事を催す風習があるところもあります。 いずれにしても、しっかりとした礼装と共に、できればご両親さま、ご家族も訪問着や色無地などを着用し、一つ紋入りならなおよろしいでしょう。
七歳は本格的の振袖
七歳ともなると、体つきもしっかりしてきます。綸子や縮緬の振袖は、明るく子どもらしい地色にめでたい吉祥柄をあしらって。また加賀友禅、総絞り、色無地などを好む人も増えてきました。一つ紋は家紋がベストですが、その子の名前にちなんだ華やかな縫い紋をあしらってもいいですね。その振袖を肩揚げ、腰揚げをして、半衿にも刺繍を施した可愛らしいものを用います。六寸の帯を文庫やふくら雀に結び、帯の上には総絞りの帯揚、下にはしごき、衿元には筥追で華やかな装いになります。
三歳女児は被布姿
お宮参りのときの祝い着か、または三つ身または四つ身裁ちの着物を着せ、帯を結ぶにはまだ身体が小さく負担になりますから、縮緬や繻子などの軽くて柔らかいしごきを結び、上から被布を着せる装いが最近は多くなっています。髪飾りもあまり重たく負担にならないものを選ぶと良いでしょう。
五歳男児は凛々しい袴姿
もともとが「着袴の儀」ですからぜひとも袴を着けましょう。 五つ紋付きの羽二重の着物に肩揚げをした羽織も着用します。 羽織には鎧甲や寅や龍など勇ましい絵柄が描かれています。 特に光沢のある派手な素材を選ばなくても、きちんと家紋を入れて流行廃れのない姿を写真に残しておきたいですね。懐剣と白の扇子を忘れずに挿しましょう。
「四君子」とは、古の賢人が愛した四つの草花で蘭・竹・菊・梅をいいます。草木の君子として称えられた言葉です。「君子」は誰もが知る徳・学・礼儀を持ち合わせた人物であり、これら四種の植物の特徴と似ていることから高潔で博学である人格者という意味があります。また、牡丹の花は百花の王とされ、幸福や富貴の象徴として古来から描かれてきました。これらを短冊などに散りばめ、子どもの成長と幸福を願い「四季短冊」と名付けました。
娘の幼い頃、私の母が刺繍で加賀手毬を作ってくれたことを思い出し、描きました。手毬は女の子の遊び道具だったことから、女性らしさと可愛らしさを象徴する文様です。長い糸を使って作られることから「良縁を結ぶ」、丸い形から「円満」「丸く収まる」といった子どもの幸せを願う親心が込められています。