Ruruto

特集

加賀友禅新潮流
心浮き立つ秋のお出かけ

上品な光沢感とシンプルなデザイン
すっと流れる爽やかな秋の風を感じて

大人をすてきにまとう褒められスタイルで、街の華やぎにも、
静かな佇まいにもスーッとなじむのがうれしい。

加賀友禅訪問着松任いち作



唐草模様をアレンジして、モチーフはおくみ部分と肩山、袖山に描いて、構図に遊びを取り入れてみました。無地部分が多いので、変わり織りの生地を使用しています。モチーフがシンプルなので、地色で雰囲気を変えていろいろ遊べると思います。くすみベージュピンク、くすみブルー、白茶など、無地の着物をお召しになるように、加賀友禅という概念からすこし離れて、気負わずにカジュアルさを楽しむのも良いのではないでしょうか。

帯:孔雀煌彩 袋帯 洛陽織物
小物:渡敬
バッグ:洛陽織物

継・往・開・来
伝統を受け継ぎつつ、未来を拓くものづくりを
洛陽織物

長い歴史の中で培われた豊富な織技術を駆使した、
誇りある最高峰の物づくりと、さらなる高みを目指して挑戦を続ける老舗。

洛陽織物は、創業から160余年を数える西陣でも屈指の老舗織元です。天保元年(1831年)頃に、初代井筒屋萬助(滋賀萬助)が近江国滋賀郡より入洛し、西陣にて織司「井筒屋」を興しました。明治31(1898)年には、三代目滋賀辰之助が今の洛陽織物の前身である帯屋「滋賀辰機業店」を創業。明治、大正期には全国特産品博覧会などでたびたび表彰され、その技術の高さを確立しました。戦時躁業を経て四代目滋賀辰雄は昭和24(1949)年「洛陽織物株式会社」に法人化し、昭和31(1956)年に「西陣織工業組合」の理事長に就任、以後28年間の長きに渡り務め、自社の発展のみならず「西陣織」の発展に大いに貢献し、日本の伝統産業をもリードしてきました。長年の西陣産地での功績により天皇皇后陛下への拝謁もかない、平成10(1998)年には創業100周年を迎え、老舗の名を揺るぎないものにしました。平成13(2001)年には京都府から「京の老舗」の認定を受けました。

子どもの健やかな成長に感謝し、祝う
家族で祝う七五三

そろそろ、お子さま、お孫さまの七五三のことをお考えの方も
いらっしゃることでしょう。誂えで加賀友禅の衣装をお作りになるなら
最低でも1年前から近所の呉服店にご相談ください。

七五三とは
「七五三」は、十一月十五日に数え三歳、五歳、七歳の子どもに晴れ着を着せ、健やかな成長に感謝し、祈願するために産土神様うぶすながみ氏神うじがみ様)などの神社へ参拝する行事です。「七五三」と呼ぶようになったのは江戸時代からで、公家や武家ばかりでなく庶民も祝うようになったのは明治時代からといわれています。 地域によって「七五三」とは言わずに「紐落とし」という呼び方をすることもありますし、数えではなく満年齢で行うところもありますので、どうしたらよいか分からないときは近所の老舗の呉服店や神社などにシンプルに尋ねてみるとよいでしょう。「七歳までは神のうち」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。国中が貧しく医療も乏しかった頃、出産や子育てはとても困難で、無事に成長することのできない子もたくさんいました。それだけに子どもの成長を願い、祝うことには今以上に熱心で、たくさんの祈りや願いを込めて、節目毎にきちんと祝い、縁起の良い物事にこだわったのでしょう。 時代は変わっても、記念撮影だけが七五三ではありません。元気に成長していることは神様にお守りいただいたということ。きちんと神社でお参りをしたいものです。神社でお参りをするときには「御初穂料」と濃い墨でしっかりのし袋に書いて、その下には子どもの名前を書いて持参します(神社によって金額が決まっている場合もあります)。

七五三の由来
三歳の祝いは、平安時代から行われていた「髪置きの儀」に由来します。多くの子どもが三歳までにその尊い命を失っていた頃、稚児の剃り上げた髪型で厄を祓っていたところから、髪を伸ばし始めて大人の髪型へと向かうめでたい行事でした。五歳は「着袴ちゃっこの儀」でこれも平安時代の公家の行事で、初めて袴を着用します。皇室の行事で基盤の上から宮様が袴を着け飛び降りる様子をテレビ等でご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。 七歳は室町時代の頃から行われていた「帯解の儀」というもので、紐で着けていた着物に初めて大人と同じように帯を締める行事に由来します。

七五三の衣裳
七五三は、記念写真や家族写真を残すための行事ではなく、子どもの成長を祝い、願う大切な儀式です。衣装に絶対の決まりがあるわけではありませんが、大きな節目のひとつとしてふさわしい、晴れやかでおめでたい装いにしてあげたいものです。神社へ参拝して祈願をした後は、食事会、披露宴、記念撮影などを行います。地域によっては、親類、ご近所を招いての大きな行事を催す風習があるところもあります。 いずれにしても、しっかりとした礼装と共に、できればご両親さま、ご家族も訪問着や色無地などを着用し、一つ紋入りならなおよろしいでしょう。

七歳は本格的の振袖
七歳ともなると、体つきもしっかりしてきます。綸子や縮緬の振袖は、明るく子どもらしい地色にめでたい吉祥柄をあしらって。また加賀友禅、総絞り、色無地などを好む人も増えてきました。一つ紋は家紋がベストですが、その子の名前にちなんだ華やかな縫い紋をあしらってもいいですね。その振袖を肩揚げ、腰揚げをして、半衿にも刺繍を施した可愛らしいものを用います。六寸の帯を文庫やふくら雀に結び、帯の上には総絞りの帯揚、下にはしごき、衿元には筥追で華やかな装いになります。

三歳女児は被布姿
お宮参りのときの祝い着か、または三つ身または四つ身裁ちの着物を着せ、帯を結ぶにはまだ身体が小さく負担になりますから、縮緬ちりめん繻子しゅすなどの軽くて柔らかいしごきを結び、上から被布を着せる装いが最近は多くなっています。髪飾りもあまり重たく負担にならないものを選ぶと良いでしょう。

五歳男児は凛々りりしい袴姿
もともとが「着袴の儀」ですからぜひとも袴を着けましょう。 五つ紋付きの羽二重の着物に肩揚げをした羽織も着用します。 羽織には鎧甲よろいかぶとや寅や龍など勇ましい絵柄が描かれています。 特に光沢のある派手な素材を選ばなくても、きちんと家紋を入れて流行廃れのない姿を写真に残しておきたいですね。懐剣と白の扇子を忘れずに挿しましょう。

赤地暁

  • 加賀友禅 四つ身 四季短冊 赤地暁作

    「四君子」とは、いにしえの賢人が愛した四つの草花で蘭・竹・菊・梅をいいます。草木の君子として称えられた言葉です。「君子」は誰もが知る徳・学・礼儀を持ち合わせた人物であり、これら四種の植物の特徴と似ていることから高潔で博学である人格者という意味があります。また、牡丹の花は百花の王とされ、幸福や富貴の象徴として古来から描かれてきました。これらを短冊などに散りばめ、子どもの成長と幸福を願い「四季短冊」と名付けました。

  • 加賀友禅 四つ身 加賀手毬 赤地暁作

    娘の幼い頃、私の母が刺繍で加賀手毬を作ってくれたことを思い出し、描きました。手毬は女の子の遊び道具だったことから、女性らしさと可愛らしさを象徴する文様です。長い糸を使って作られることから「良縁を結ぶ」、丸い形から「円満」「丸く収まる」といった子どもの幸せを願う親心が込められています。

赤地暁

1960年 金沢市生まれ
1979年 加賀友禅作家 東藤 岳 氏に師事
1990年 独立 赤地暁染色画工房を設立
2002年~ 現代加賀友禅展へ出品「雨山賞」はじめ各賞受賞
2008年 伝統工芸士認定
2009年 双美展へ出品「双美賞」過去6回受賞
2012年 丸与商事株式会社主催 金沢流通会館にて自身初の個展開催
2013年 第39回加賀友禅新作競技会「石川県知事賞」受賞
2014年 小川株式会社主催 金沢本社/京都支社にて個展開催
2015年 第41回加賀友禅新作競技会「金沢市長賞」受賞
2017年 ブラジル ポルト・アレグレと金沢市の姉妹都市提携50周年を記念し、現地ポルト・アレグレにて実演
2018年 キモノプロジェクト Imagine one Worldに参加し、エクアドルを描いた振袖を制作 エクアドル大使館にて大使と面会
2019年 美しいキモノ冬号 掲載
2020年 第62回伝統加賀友禅工芸展「銅賞」受賞