特集
十一代目岩井半四郎がこだわり抜いて創り上げた四十五色の色無地です。
日本の侘び・寂びを感じさせてくれる奥深い色から、遥かなる憧憬シルクロードを思わせる澄んだ鮮やかな色まで、色彩の全てを尽くしました。
色生地は、
一、しぼ立ちのハッキリとした丹後ちりめんの綾涛。
二、三眠蚕の細いしなやかな糸で木漏文様を織り上げた紋意匠ちりめん。
三、西洋の王侯貴族が好んだ大胆な西洋更紗の文様を織り出した紋意匠ちりめん
の三種類を使っています。
遥かなる憧れの藍銅鉱を思わせる鮮やかな紺青色。松葉色に海松色を重ね、さらに奥行きを出した常磐なる緑。木々の実や樹皮を煮つめた朽葉木蘭色に鬱金の華やぎを加えた黄金色。
今回は四十五色の中から最もこだわった三色をそれぞれに相応しく三種類の白生地に染め上げました。
三眠蚕
通常の繭よりも、細くしなやかな絹糸を生み出す三眠蚕の糸で織り上げた生地は、艶やかで地紋の表情が際立ちます。
十一代目が考案した半四郎小紋を復活させ、新しく十一代目が型をおこし色調を変え、斬新な小紋が出来上がりました。
上から
菊花花火重ね小紋
菊の花弁かと思いきや、実は菊花文様の花火が重なり合う様子を柄におこしました。
褐色に黄金色を合わせるというモダンな組み合わせです。
隅田川水面小紋
江戸の隅田川の水面を描いた細波の柄。
縞柄でありながら 粋になりすぎず洒落た味わいのある柄です。
絞り麻の葉小紋
墨濃淡はご存知麻の葉文様。この朝の文様は四代目岩井半四郎が舞台衣裳として考案した柄でそれが江戸の町で大流行しました。
少し縦長にして、点で描いた「絞り麻の葉」は永遠の和柄といえるでしょう。
扇つなぎ緑縞小紋
家紋の「三つ扇」から発した扇つなぎ緑縞。小さな開いたセンスを緑の糸でつないだ、小粋ながら品のある柄。
紫紺色に杜若色で柄を浮き上がらせています。杜若は岩井の流儀の花です。