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雪輪は五穀豊穣の象徴である雪の結晶を図案化したもの。そして、ところどころ欠けていることから「私はまだまだ…」という謙虚な心を表すといわれます。雪輪取りに古典とモダンが融合した上品な裾模様です。
ヱ霞(えがすみ)は箔と宝尽くし、菊、松とめでた尽くしに文箱。文箱には箔四季折々の花々が美しく描かれている豪華な色留袖。文箱は器物文様のひとつで、教養や文化を意味します。落ち着いた地色が上品。
菊の花の放射状に整った姿は太陽の光に似ているところから「日華」とか「日精」とも呼ばれ後鳥羽天皇が愛用したことから皇室の紋となるきっかけが生まれました。「百草の王」、長寿延命など瑞祥的な意義があり、平安朝の頃から貴重なものに使われていました。
公家装束に用いられた織文様から誕生した有職(ゆうそく)文様のひとつで、つながっているものは「七宝つなぎ」とよばれ、永遠を意味するめでたい文様。また、金銀、瑠璃などの仏教の七つの宝も意味します。
鮑(あわび)をたたいて長く伸ばしたのが「熨斗(のし)」で、こちらはそれらを束ねた「束ね熨斗」。人とのご縁や長寿を意味するおめでたい文様で、お宮参りの祝着や振袖にも多く見られます。
平安時代の遊び、「貝合わせ」に使用する貝を入れておく容器を貝桶(かいおけ)といいます。二枚貝は夫婦和合や円満の象徴とされます。
正倉院御物にも見られる文様で、おめでたい着物や帯によく用いられる華やかな文様です。
扇、檜(ひ)扇も器物文様のひとつで、言うまでもなく末広がりのおめでたい文様です。扇の中にもおめでたい草花などがえがかれます。
この世のすべての生命に必要な水。五穀豊穣につながることから豊かさをも意味します。また流れや波も吉祥柄のひとつで、清純や永遠の意味がこめられています。
洋服でいえばドレスに当たるのが訪問着。大正時代に百貨店が名付けた当初は「訪問に適している着物」という意味合いが強く、紬や小紋などに広く使われていましたが、徐々に絵羽模様の染の着物をそう呼ぶようになりました。最近は家紋を入れる人は少なくなりましたが、一つ紋を入れておくと格は上がります。染め抜き一つ紋ではなく、銀糸などで縫い紋を入れる方も。
また、紬地などに絵羽模様を染上げて「おしゃれ訪問着」なども登場していますが「式」と名の付く行事にはやはり、縮緬や綸子など光沢のある白生地に友禅などで染上げたもののほうが適しています。
帯は格の高い、金銀糸などを用いた袋帯を締めれば、新郎新婦の姉妹や少し遠い親族ならば訪問着でもおめでたいお席に華やかさを添えることができます。
結婚式などには白の衿が適していますが、パーティなどの「宴」には、豪華な刺しゅうの半衿などでドレスアップしても。