Ruruto

特集

また着たい、いつも着たいと思わせる
明月蘆の着心地とセンスの秘密

ディテールにこだわるとフォーマルがファッショナブルになる

着物:菱地 取り方桜にツタ
帯:袋帯 ビーズキーホルダー

色づかいが特徴的で、インパクトがあります。取り方という古典的な手法を取り入れながらも、現代的なエッセンスをプラスして華やかさの中にも繊細で知的なイメージも。
着物:カゴメ地 上前桜に萩
帯:袋帯 疋田雪輪散らし

額縁取りという古典的な柄付けをスコープ・ココ流にアレンジした明月蘆の代表柄。モチーフはさまざまなパターンがあります。帯の雪輪の中にも古典的な文様を配しました。

明月蘆の色 二万色の隙間を狙って

着物:変わり麻の葉 色無地
帯:袋帯 琳派牡丹唐草

麻の葉文様を大胆にアレンジした地紋で、織り方の異なる麻の葉を斜めに配列して躍動感を出しました。仕立てで麻の葉を合わせると付け下げ風の色無地に、織り紋様をあえてずらして小紋風にも。帯は伊藤若冲のインスピレーションで爽やかに。
着物:モリスの葉 色無地
帯:袋帯 ビジュー 三角タイル

ウィリアムモリスの絵からデザインしたダイナミックな地紋に、刺繍で、鱗(うろこ)文様のように三角形のタイルを配したシンプルな帯を合わせて、ドレスをまとったように軽やかな欧風コーデに。

[男物]
着物:ダイヤ地紋 無地
羽織:カゴメ地紋 無地

織文様と質感の違う生地の着物と羽織でシンプルなイケメンコーデ。

渺茫(びょうぼう)たる色の追求

『るると』取材班は、スコープ・ココの物づくりにおける懐刀(ふところがたな)で、どんな少量の糸染めにも応じてくれるという染屋さんを訪ねました。 北野天満宮の近くの「寺井染工」です。
「糸を預かって、ご注文どおりの色に染め上げるのがうちの仕事です」と社長の寺井一雄さん。得意先の感性にドンピシャの色を出すのがポイントだとおっしゃいます。好みはもちろんのこと、得意先の光源がどんなものなのかまで頭に入っているというから驚きです。
「スコープ・ココさんは、色見本が2万色もあるのに、その隙間の色を欲しがるんですよ」と笑います。色は赤、青、黄色の三原色。その周辺の色も含めて使用する染料は50種類程度。そこから寺井さんの勘でその時染める糸の分量だけを、料理でもしているかのように目分量でサッサッとお玉に入れていきます。
寸胴から湯気が出ているので湯温を尋ねると90度だそうで、そこへ糸をそっと沈めます。取り出して絞り、見本の糸と見比べては、少し染料を足してまた沈め……と、2~3回繰り返すと見本とほぼ同じ色になりました。
「青はいいですがグレーは難しいですね。糸染めは足し算。あとはもう経験と勘です」という寺井さん。糸の種類が変わると染まり具合も変わるそうで、スコープ・ココの仕事は糸も多種多様な上に、とりわけこだわりが強いとのこと。そんな難しい注文に長年応え続けている職人の誇りを感じる仕事ぶりを見せていただきました。

  • 今出川通りに面した入り口には暖簾が揺れていました。

  • 見本を手に取ってじっと見つめます。

  • 迷いなく染料をオタマにとります。

  • 染料の色だけを見ているととても青に染まるとは思えません。

  • 糸を静かに沈めていきます。

  • 何度か、浸けたり上げたりして様子を見ます。

  • 数分でドンピシャの色になりました。

特集一覧へ