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綿紅梅は、一般的な浴衣に割と多く用いられる平織のコーマ地などと比べると軽くシャリ感があり、洋服でいうクレープ地のように格子状に太い糸が織り込まれた京都市内の地図を見るかのような、碁盤の目が浮き出て見える透け感のある木綿生地です。この凸凹で勾配ができることから、勾配織や高配織と呼ばれ、それを洒落て紅梅と呼ばれるようになりました。生地が肌にペタッと貼り付かず、風通しが良いことからとても涼しい素材のひとつです。
一方絹紅梅は、見た目は綿紅梅とよく似た碁盤の目が浮き出て見える生地ですが、竺仙の絹紅梅は85%が絹、15%が木綿で、格子の部分が綿紅梅同様木綿の糸、残りの部分が絹糸で織られています。綿紅梅よりも透け感は強く、地風に強いハリがあります。 浴衣として着用する場合は透けてしまうので、外出の際はしっかりと白やベージュなどの肌着を身に着けたいところです。
小紋のTPOで夏の着物として愛用できますので、長襦袢または半襦袢を着け、衿は絽、着物として着用するときは白足袋を履きましょう。
ほぼ着物として着用する予定ならば、衿裏を付けて広衿で仕立て、後ろ身頃には居敷当てを付けておくことをお勧めします。
徳川家康が江戸に幕府を開いた1603(慶長8)年、浮世絵で有名な木造の太鼓橋の「日本橋」が架けられました。P4ー5の後ろに「日本橋」の文字が写っているのは1964(昭和39)年の東京オリンピックの時に東海道新幹線などと一緒に都心に出来た首都高速道路です。それによって現在の日本橋の中央柱の麒麟、親柱の獅子は少し窮屈そうで、遠くからは見えにくくなってしまいました。道路元標の広場には、ここ、日本橋を起点とした各地への距離が「里程標」に示されています。
かつて日本橋には魚河岸がありました。関東大震災の壊滅的な被害によって魚河岸は築地に移りましたが、日本橋のたもとには「日本橋魚市場発祥の地」という石碑が建っており、山本海苔店、にんべん他、海苔や鰹節などを扱う乾物屋や包丁の木屋など、魚河岸の名残を感じさせる店舗が多く残っています。
「日本橋○○町」と日本橋の冠のついた町は21あり、竺仙は日本橋小舟町にあります。そして日本橋室町には今回の撮影でご協力をいただいた、「福徳神社 芽吹稲荷」が鎮座しています。ここは、貞観年間(清和天皇・860-876年)の創祀とされており、徳川家康公も参詣したという由緒ある神社です。
福徳神社(芽吹稲荷)
東京都中央区日本橋室町2-4-14 03-3276-3550
授与所 9時~17時 御朱印受付 10時~15時
夏の歌舞伎は、「納涼」と名の付くものが多く、新春歌舞伎などに比べると、浴衣姿で観劇する人も多く見られます。また、比較的ハードルの低い怪談物や宙乗り、本水使用の楽しい演目、有名なお話も多く、上演時間が短いこともあってビギナーには観劇デビューしやすい時季です。
劇場内はとても涼しいので着物で行くには最適。着物で出かけて少しくらい汗ばんでもエアコンの効いた場内ではすーっと汗も引いて快適です。寒がりの人は薄手の羽織り物などを持参することも。
怪談物などの演目がかかるときは浴衣姿の人も多く見かけますが、できれば演じる役者へのリスペクトも込めて下駄を避け、衿と足袋を付けた着物姿で行きたいところ。そんなとき竺仙の綿絽の浴衣などは最適です。
音の出るかんざしや根付けなどは野暮。ヘアも低めに結って行けば楽しい時間を過ごせること間違いなしです。