Ruruto

特集

伝え残したい日本の礼装の
美と心

写真:Studio MacCa
商品協力:近江屋株式会社 井登美株式会社

季節の花の名を言える、出されたお茶を美味しくいただける、きちんとご挨拶ができる、
いざというとき、ちゃんと頑張れる。
そんなすてきな日本女性は、人生の晴れの日にきものを上手に取り入れています。

春の婚礼シーズン、卒業、入学シーズンの前に、
母や祖母から教わったフォーマルの装いのこと、少し思い出しておきましょう。

留袖を
身にまとう
しあわせ

品の良い地色に描かれているのは波が打ち寄せる岸壁に鶴の舞う加賀友禅。
波は絶え間なく打ち寄せるその様から永遠を意味し、結婚式などの祝いの席にはふさわしい吉祥文様。また、鶴はいうまでもなく長寿の象徴です。

着物:加賀友禅色留袖「能登見附島」寺西秀樹作
帯:「霞取七宝文」袋帯 梅垣織物
着るひと:JKS専属モデル Ayana
着るひと/四位笙子

佳き日を寿ぐ
ミセスの最高峰の装い

豪華な花紋更紗の黒留袖は、おめでたい華やかなお席にこの上ない幸福をもたらしてくれそうです。宝相華(ほうそうげ)は、実在の花ではなくありとあらゆる美しい花をすべて合わせた少しオリエンタルな表現で、極楽浄土に咲く花ともいわれ、正倉院御物にも見られる格調高い文様です。

着物:京友禅黒留袖家紋更紗 菱健
帯:「斜段四季花文」袋帯 梅垣織物
着るひと/四位笙子

厳かな中にも
洗練された
美しさが漂います

春爛漫(らんまん)の風情にウグイスのさえずりが聞こえてきそうな柔らかい印象の裾模様を落ち着いた地色でバランス良く。風光明媚でうららかな様子と、「梅に鶯(うぐいす)」というこれ以上ない絶妙な自然の理に学んだ取り合わせが、おめでたい席にふさわしい装いになりました。

着物:加賀友禅色留袖「小菊小鳥」口野春峰作
帯:「短冊吉祥文」袋帯 大文字屋庄兵衛

結婚式のTPO

結婚「式」に出席するのか?あるいは、披露「宴」なのか?会場はどこなのか?そして、何よりも重要なのは出席する自分の立場、つまり新郎新婦とどのような関係なのか?などによって装いのルールや核が違ってきます。

親族 ミス ※振袖
訪問着
色留袖(三つ紋、一つ紋)
色無地(江戸小紋三役)(三つ紋、一つ紋)
ミセス ※黒留袖(染め抜き五つ紋)
色留袖(三つ紋、一つ紋)
色無地(江戸小紋三役)(三つ紋、一つ紋)
訪問着

帯はいずれの場合でも、格の高い丸帯か袋帯を締めます。

新郎新婦の母親は、黒留袖を着用します。それ以外の親族は、新郎新婦の両親よりも目上ならば黒留袖着用が一般的でしたが、昨今は色留袖、訪問着、色無地などを着用することも多くなってきました。新郎新婦との縁、式場の格などを参考に装いを選びましょう。

披露宴

結婚式に出席した親族がそのまま披露宴に出席する場合は、式の装いそのままが一般的ですが、遠い親戚、仕事関係、友人、知人として披露宴のみに出席する場合は会場の格や結婚式の規模などによって判断をしましょう。
神社に隣接する披露宴会場や格の高いホテルなどでの披露宴の場合と、レストランウェディングとでは装いの格も変わります。また「平服で」とドレスコードが記載されていても、完全なカジュアルウェアよりは、新郎新婦の門出を祝う気持ちを装いに込めて、少しだけ華やかにしてみるとよいでしょう。