特集

長い夏を楽しむ
単衣・夏物アップデート

雪国生まれの清涼感

カジュアルな夏のお出かけが
ワンランクアップする
夏の織物

着物:夏紅花紬 優波 よねざわ新田
帯:二重紗八寸なごや帯 夢幻 近賢織物
OK 通年使用可能
着物:夏柿泥紬 くるまや工房
帯:九寸なごや帯 スタイリスト私物

各産地の夏素材、通年素材も充実

強いシボによるシャリ感が人気の本塩沢は単衣素材の代表格で、愛用している人も多い着物ですが、加えて盛夏の越後上布、小千谷縮、十日町明石縮など新潟は夏素材の宝庫です。さらに米沢でも、地球温暖化に伴い、高温多湿の日本の夏に適した単衣、夏物に力を入れていて、魅力的な作品が次々に生まれています。
例えば、上の、紅花で有名なよねざわ新田の「優波」という作品は、涼やかな表現を求めて波を織り出していますが、一般的な波筬なみおさによる緯糸の波表現ではなく、機織り機を改造して織り上げた経の波模様が反物の半分くらいの幅で入っています。よく見ると紅花染の糸も使われており光の加減によって見え方が変わります。そして、締めている白い帯も同じ米沢の近賢織物の作品で、経糸は絹糸ですが緯糸に和紙を使用した紋紗組織を二重に織っているので、紗といっても通年締めることができます。こうした通年素材も年々増えてきました。
写真(上)の小千谷のくるまや工房の柿泥染は、もともと柿渋が水や汚れに強いこと、消臭効果があることなどから単衣、夏素材にピッタリで年々人気が高まっており、軽さ、涼しさも太鼓判の逸品です。

  • 着物と帯:柿泥紬 高三織物
    柿渋は抗菌、防臭効果も高く、水にも強いので日本では古くから和紙に塗って雨合羽にしたり、お風呂屋さんの脱衣カゴなどにも用いられてきました。

  • 着物:十日町明石縮 吉澤織物
    「セミのはね」といわれるほど薄く、強いシボで涼しさが増します。盛夏に最適な着物ですが、6月や9月に着用するなら襦袢の色を工夫して。