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はんなりとした柔らかな色調に、多彩な色。絵を描くようにこれだけ多くの色を挿し、さらに刺繍、絞り、箔と加飾で金銀を加えても決して混乱せず、美しいと感じられる絶妙な配色と加飾のバランスが見事な京友禅。
加賀友禅が武家文化を伝える趣を感じさせてくれるのに対して、貴族の衣裳を長く整えてきた京友禅は典雅な模様が特徴です。加賀友禅は写実的な表現が多いのに対し、京友禅は四季折々の美しさを優美に写し取った花鳥風月、吉祥を招く瑞雲や永久を意味する水流などの自然現象を美しくデフォルメし、デザインし、具象化して布の上に表現しています。
公家文化を背景とした平安貴族の暮らしに由来を求める御所車、貝桶、文箱、楽器、几帳、巻物などの道具文様も好まれ、『源氏物語』などの教養を示す文化的要素の王朝絵巻も好んで描かれます。有職文様をふんだんに取り入れた、京都らしいたおやかさと典雅な世界が特徴です。