Ruruto

木内昌子の着物はじめ 第二回

2018/06/01

着物はじめ

せせらぎの、音心地よく、夏の風

暑い夏ですが、それだけに、涼しく過ごす工夫や先人たちの知恵が楽しく、すてきな季節です。着物もそのひとつ。
どんなに薄着をしても暑いのに、着物姿が涼を運んでくれます。どこかから、風鈴の音がチリリンと聞こえました。

たたずまいが透明な涼を招いて

映画のサウンドオブミュージックに憧れて小さい頃からバレエを習っていました。学生時代は陸上部だったんです。身体を動かすことが大好きなんですね。オーディションに通って東京に出てきてから、日本舞踊のお稽古に通っていたのですが、その先生方がとてもステキで憧れました。

日舞を習うだけではなく、心も浄化されに行くというか……、所作の美しさ、姿勢の美しさは見かけだけじゃなくて心の成せる技だと教えていただいたような気がします。たたずまいの美しい女性になりたいと思ったのはこの時でしたね。日本舞踊は思っていた以上にハードで全身運動。ゆっくりな動きのときでもどうしてこんなに筋肉痛になるのだろうって考えたときに「姿勢」なんだなと気づきました。気をつけているつもりでも、いつものクセがついつい出てしまう。姿勢が変わると人生が変わるといわれるのもとてもよく理解することができました。
小千谷縮に袖を通してみると、夏の着物って、少しそうしたことに共通しているような気がしました。暑いからとダラダラしてもやっぱり暑い。でも、こうした着物に袖を通して背筋を伸ばしてみたら、すーっと風が通り抜けて身も心も涼やかになれるんですね。着物の力を改めて実感しました。麻の着物はシャリッとしていて、せせらぎに耳を澄ませていたら、身体の中を風が通り抜けていきました。小千谷縮のヒンヤリとしてまとわりつかないパリッとしたところがとても心地良く感じられました。

着物:小千谷縮(愛染倉)
帯:紗つづれなごや帯(愛染倉)
小物:一式(愛染倉)

 

着るひと 女優 木内 昌子

1997年「第1回ザ・ジャパン・オーディション」の合格をきっかけに芸能界入り。翌年、V6のComingCenturyが主演を務めたTBS系「PU-PU-PU-」にてヒロイン役でデビュー。映画「踊る大捜査線」、「GTO」、テレビ朝日系「はみだし刑事情熱系」では柴田恭兵の娘役にてブレイク。2004年にはフジテレビ系「女医・優-青空クリニック-」にて初主演を務めた。NHK「葵徳川三代」、「てるてる家族」、TBS系「砂時計」、「水戸黄門」、「ラブレター」、フジテレビ系「HERO」、「ウエディングプランナー」、「美しい罠」、テレビ朝日系「着信アリ」など。2011年からは香川県の観光大使「うどん県副知事」としても活躍しており、2016年6月には「かがわ21世紀大賞」を受賞。近年ではその演技力を活かした朗読劇を精力的に上演しており、nanamiという名前で歌手活動も行っている。