Ruruto

特集

究極の染織美
本格派振袖で重ねる幸せの記憶

伝統にとらわれない自由な発想が生んだ
十日町友禅

いつの時代にも頂点を極めてきた十日町

全国屈指の豪雪地帯の十日町では、昨今でこそ温暖化の影響を受けてか、雪は減ってきました。しかし、かつては雪が屋根の高さまで降り積もることもしばしばでした。雪のおかげで良質で豊かな水と多湿に恵まれた十日町は、米、酒にならび、織物に適した土地柄でした。室町時代、江戸時代には「越後ちぢみ」が一世を風靡。武士の正装となるほどの着心地の良さで現代の越後上布、小千谷縮へとその技術が受け継がれています。幕末から明治時代にかけては、麻布の技術を生かした絹織物、「十日町明石ちぢみ」が、戦後には、「マジョリカ御召」が大人気を博し、昭和30年代になると、PTAルックやクロッパなどとも呼ばれた黒羽織が全国的に流行しました。いつの時代にも大流行する商品を生み出してきた十日町を常に牽引してきたのが、江戸時代から続く吉澤家、吉澤織物です。
昭和40年代に、京都、金沢から染の技術指導者を招き、織物産地は、一丸となって染の世界にチャレンジ。1年のうち半分が雪に閉ざされる厳しい気候風土に裏付けられた根気強さと、チャレンジ精神は、新たな友禅の世界を切り開き、「十日町友禅」として見事に新ブランドを確立しました。根気強さに、伝統にとらわれることのない自由で伸びやかな発想とクリエイティビティが加わって、美しい友禅作品を生み出しています。

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おじいさまの
長寿のお祝い

おじいさまの長寿のお祝いはホテルのレストランで行われることになりました。孫は全員、おじいさまに買っていただいた振袖で集まります。

振袖:青柳(桶絞り)
帯:おび弘(西陣手織)
帯締、帯揚:小川屋
バッグ:望幸
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大切な瞬間のために

今日は、海外からのお客さまの歓迎パーティー。おもてなしの基本は、しつらえ、装い、振る舞い。小さなパーティーですが、大切な瞬間のために振袖を装って最高のおもてなしをします。

振袖:吉澤織物
帯:梅垣織物
帯締、帯揚:望幸

女子教育の原点に思いを馳せて

卒業式の定番スタイルとなっている袴は、明治時代の、まだ女子教育が行き届いていない時代の女学校の制服として採用されたのが始まりです。そして、女性教師もまた袴を着けていました。今も幼稚園や小中学校で、卒業式に袴を着けて臨む教師がいます。
平安時代の宮廷女官に端を発する袴姿ですが、さらにさかのぼれば高松塚古墳にもあるとおり、飛鳥、奈良時代の裳にまでさかのぼることができます。
動きやすいということに加えて、明治時代、まだ就学率の低かった女性たちの中で、袴を着けて女学校へ通う一部の特権階級の女性たちは凜として輝き、多くの女性たちの憧れだったに違いありません。
袴を着けてお下げ髪を揺らしながら駆けていく生き生きとした当時の女学生、また前髪を大きく膨らませて、後ろに大きなリボンを付けた女学生......。学業を修めても、現代のように女性の働く場は少なかった中、たくさんの逆境や逆風と闘ってきた先人たちに思いを馳せながら、知識と教養の象徴として、品の良い礼容たる袴姿で、学業を修め明日から新たな道に胸を張って一歩踏み出す自分を励ましながら歩みを進めたいものです。

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卒業式は袴を着けて

かけがえのない日々を共に過ごした友だちとの最後の日。お世話になった先生方とのお別れの日。袴姿もまた一生に一度の装い。


振袖:吉澤織物
袴:小川屋


振袖:久保耕
袴:小川屋