Ruruto

特集

晴れの席から女子旅まで
春を楽しむ色無地美学

商品協力/近江屋 菱屋善兵衛 小川屋 望幸
撮影/タカヤコーポレーション
着付け/羽尻千浩
ヘアメイク/添田麻莉
モデル/四位笙子 JKS専属ドリームエンジェル CHIZURU
撮影協力/京都東急ホテル

まだ少し風が冷たく感じられる日もありますが、
なんとなく空気の気配が変わってきました。
卒業式、入学式、野点や小旅行、
お花見の誘いもありましたか?
いろいろと、心弾む日が増えてきたら
一番好きな色無地で春を楽しんでみませんか?

春はやっぱりペールトーン

各年代でコロナ禍にとても流行ったくすみ色ですが、
心までくすんでしまいそうなときは
思い切って明るい色で出かけてみませんか?
光沢のあるペールトーンなら
気持ちも前向きになれそうです。

Social
ソシアル

帯:一栞 細密織袋帯 ペルシャ更紗文様

帯しだいで幅広く楽しんで

色無地の良いところは、帯を替えることで、さまざまなTPOに幅広く活用できるところ。多様多種な着物のなかでもっとも重宝な着物と言っても良いかもしれません。
基本的にはフォーマルならば金糸、銀糸の入った格の高い袋帯、ソシアルならば金糸、銀糸の入っていない袋帯や古典柄の九寸なごや帯などを合わせます。カジュアルなら、なごや帯や有職文様の半幅帯など。
特に染め抜きの一つ紋を付けておくと、準礼装として、格の高いお茶会、卒業式、入学式、授賞式などにも適した着物になります。かつては三つ紋、五つ紋を付けることもありました。五つ紋を付ければ立派な第一礼装となり紋の付いていない訪問着よりも格上となります。しかし、昨今は準礼装、略礼装という趣が主流になってきました。家紋も一つ紋がほとんどで、三つ紋、五つ紋を付ける方は減ってきました。また、一つ紋でも染め抜き一つ紋ではなく、菅縫、相良縫などの陰紋を付ける人が増えてきました。おしゃれ着のみと決めて、お家の家紋ではなく好きな花や動物などの刺繍紋や、木目込み、押し絵などを付けて個性的な装いを楽しんでいる人もいらっしゃいます。お召しになる方によっても、色無地は変幻自在と言えそうです。

Casual
カジュアル

帯:一栞 九寸織なごや帯 ツタ
帯:菱屋善兵衛 半幅帯 更紗
一栞 色無地 七宝

ミレットの花言葉は「生命力」

正倉院にも数多くの御物の残る「菱紋」ですが、その表現は非常に多岐にわたっています。松菱、松皮菱や菊菱などは着物ファンにはおなじみですが、平安時代に貴族の間に爆発的な人気を呼んだといわれる業平菱もまた季節を問わずに着用できることから人気の高い柄です。在原業平の衣服に表されている文様で在原格子の別名があります。業平菱は源氏物語にも登場しますので、今年のNHKの大河ドラマで探してみると発見できるかもしれません。
さて、菱屋善兵衛は創業220周年の記念作品を制作するにあたり、その菱のデザインを強くたくましいミレットをモチーフにおこしました。ミレットはキビ、アワ、ヒエなどを含む雑穀類のことで人類が最も長く食している植物でもあります。花言葉は「生命力」。コロナウイルスは昨年感染症5類となりましたが、完全に消えたわけではありません。地球環境も変化していく中、生命力のある地紋の色無地を身に着けるというのは、なんだかとても心強い幸福感が感じられます。

大菱紋-ミレット-

  • 西陣の老舗メーカー、菱屋善兵衛が
    創業220周年を記念して企画、制作した新しいタイプの色無地。

    ミレットは10色展開。数量限定です。
Casual
カジュアル

帯:菱屋善兵衛 袋帯 宝相華
菱屋善兵衛 大菱紋-ミレット-
Formal
フォーマル

帯:泰生織物 袋帯
菱屋善兵衛は220周年の記念作品、ミレットを制作するに当たってこだわりの伊予生糸という希少な糸を採用し、別格の着心地を提供しています。

伊予生糸がもたらす風合い

伊予生糸は「生繰り法」と呼ばれる技法で糸をとります。エリザベス女王の戴冠式のドレスにも使用された美しく由緒ある糸です。一般的には、加熱乾燥させた乾繭から糸をとります。ほとんどの絹糸がこの技法で年間を通して安定的な繰り糸をし、美しく艶やかな糸を生産しています。
伊予生糸は文字どおり四国は愛媛県の伊予地域で作られています。生のままの繭を冷蔵で保管し、繭に一切の熱を加えないため生まれる糸は熱による変性がありません。絹が持つポテンシャルを最大限に引き出すのが伊予生糸。ご当地特有の豊富な美しい水を使用して多条繰糸機で、極めて低速で糸に一切の負担をかけずに丁寧に糸を引くため、生産量はわずかとなりますが、その代わり蚕が吐く絹糸本来のうねりを残すことができます。
品の良い光沢と柔らかい風合いが特徴で、織り上げた着物は柔らかいのにシャリ感やコシがあるので、着心地が良く着崩れもしにくくなります。しかしながら生産量が極めて少ないため、古くから伊勢神宮、皇室の御料糸として採用され、一般にはあまり手に入りにくい希少な糸です。