着物にまつわるQ&A: 初心者が抱きがちな疑問
(着物の値段、レンタル着物について、着崩れした時の対処法など)を紹介
「着物を着てみたい」そんな憧れを抱いている方はきっと多くいるでしょう。
と同時に、着物って少し敷居が高い?そもそも持っていない。着崩れたりした時に
自分で着れないけどどうしよう?など様々な不安や疑問を抱いている方もいると思います。本日はそんな方の疑問を日本きものシステム協同組合の伊藤がお答えしたいと思います。
・着物の値段の違いは?
着物の値段は大きく分けると2つのポイントがあります。
①素材の違い
正絹という絹でできた素材のものとポリエステルなどの化学繊維素材や綿など、正絹以外の着物で分けることができます。この素材の違いによって値段が変わります。
②お仕立てするかしないか
そのお着物が既に着物の状態になって売られているか、反物を買ってこれから仕立てるか?それによって値段が変わってきます。
それぞれのメリット、デメリットについて解説します。
①素材の金額、それぞれのメリットデメリット
⑴正絹 金額10万円以上〜
・メリット
正絹とは絹100%の素材のことを言います。魅力は絹の光沢からくる非常に高級感のある着姿。そして生地の滑らかさからくる最高の着心地です。有名ブランドのエルメスなどのスカーフもシルクですよね。特にフォーマルなお着物の訪問着や留袖などはほとんどが正絹で作られており、華やかさや高級感があり値段相応の価値があります。
・デメリット
正絹のデメリットは家で気軽に洗濯機で洗えないことです。専門の呉服店でクリーニングに出す必要があります。また金額も正絹になると生地だけで10万円以上からになります。手描き友禅や職人さんが織って作った着物などは素材が言い分、技術や手間賃などがかかりますので値段はさらに上がります。
⑵綿、ポリエステル、ウール、麻 1万円くらいから〜
・メリット
これらの素材のメリットは家で洗えるということです。自宅の洗濯機で洗えます。その為、普段の洋服の様に汚れを気にせず着ることができます。また金額も正絹に比べるとお得になります。
・デメリット
これらの素材のデメリットは正絹に比べるとやはり着心地は劣ります。またポリエステルの着物などは静電気が発生しやすいことがあります。また麻の着物は一部、
新潟の小千谷縮など10万円以上のものもあります。
②お仕立てのメリット、デメリット ポリエステル
約2万〜3万円 正絹 約4万〜6万円
・メリット
お仕立てして着物をつくるメリットは自分自身にピッタリの寸法で着物が出来上がる為、着付けがしやすく、着心地もとても良いという点です。また裏地の色なども
選べる為、自分自身が好きなようにカスタマイズできるという点です。仕立て上がっている着物は、SサイズやMサイズなどざっくりとした寸法ですので、初心者の方は着付けが難しかったり、着崩れやすかったりします。着付けを自分で覚えてみたいという方は自分の寸法で作ったもので練習した方が覚えが早いでしょう。
・デメリット
お仕立てする際には、お仕立て代や裏地代などが表地の着物とは別でかかってくる為、出来上がりのお着物に比べると値段は上がります。
・レンタル着物について
レンタルの着物を無料で貸し出してくれる着付け教室もたくさんあります。しかし足袋や肌着など肌に触れるものはご購入していただく場合があります。レンタルの着物は手ぶらで着付けが気軽に習える一方、先ほどお話ししたように自分の寸法でない為、着付けする際に、調整する必要があります。何回か着付け教室に通ってみて本格的に着付けを覚えてみたいという方は安いものでも構いませんので着物を仕立てて着る方が長い目でみたら上達は早いです。またお仕立てしなくても今、お持ちの着物を部分的に直すことも可能です。ぜひお近くの着物屋さんに相談してみてくださいね。
・着崩れした時の対処法について
着物は、どうしても着崩れたりするものです。どんな着付けの上手な人でも一日中着ていれば多少は着崩れてくるものです。着崩れてくるといってもいろいろなポイントがありますが、大きくは3点。①襟の乱れ②おはしょりが出過ぎたり隠れてしまう③帯が下がってしまう。この3点はよくありがちなので対処法とともに押さえておきましょう。またタオルを持っておくと着崩れた際に活躍しますので不安な
方は持ち歩いておくといざという時に活躍します。
① 襟が乱れる
着物を着ていると着物や長襦袢の襟が乱れてくることがあります。その際は身八つ口から手を入れて片方の襟を引っ張ると襟を整えることができます。また身八つ口だけでなく裾の内側の襟を引っ張って直すこともできます。着付けの際に腰紐よりもコーリンベルトを使うと着崩れしにくくなります。
②おはしょりが出過ぎたり隠れたりする時
おはしょりが出過ぎたりするときは、まずは畳んで帯の中にしまい込んでください。この時はおはしょりがシワにならないようにしまった後に丁寧に整えてください。逆におはしょりが隠れてしまった時は手で下におはしょりを引っ張り出して
帯の位置を上げて、帯の後ろにタオルを挟んでおくと応急処置になります。
③帯が下がってきてしまった
帯は一度、結ぶとなかなかその場で直すということは難しいです。その際は
一度、自分で帯を上げてタオルを帯の後ろ挟んでおくと帯が下がりにくくなります。どこかで着付け直しができるまではこの方法で応急処置しましょう。
これら以外にも、「大股で歩かない」「小さな所作で歩く」など着崩れを防止する
ポイントはたくさんあります。これらの動作は所作も綺麗になり、女性らしい上品な着こなしにつながります。また実践あるのみというように、着物が着れる様になったらできるだけ多くのところにお出かけすると、着崩れた際の練習にもなるので近場でもいいので着崩れを恐れずどんどん着物を着て出かけることが大事です。
改めてですが、どれだけ着物歴の長い人でも着崩れすることはあります。その際の対処法だけ押さえておけば大丈夫です。