着物には色々な種類があり、着るシーンによってその場に相応しいTPOがあります。現代ではそこまで
ここには着て行ってはいけない!などとその席で怒られたりなんてことはほとんどありませんが、TPOを理解した上で着物を着ることで、着物の楽しみをより深めることができます。本日は、なぜそのような席にこの着物が相応しいかの理由も付け加えて分かりやすくTPOのご説明をさせていただきますので、ぜひこの機会に着物知識のUPとして着物のTPOを覚えてみましょう!
着物のTPO フォーマルとカジュアルを覚える
まずはこの図をご覧ください。
色々な着物の種類が書いてありますよね。
着物のTPOを覚える際に重要なのが、その着物が①フォーマルなのか②カジュアルなのかということです。着物は大きく分けるとフォーマルとカジュアルに分かれます。フォーマルとはいわゆる結婚式や入学式、卒業式、七五三、お宮参りなど、いわゆる正装の場、〇〇式や儀式などの場所を指します。洋服でも結婚式にジーンズにTシャツではいきませんよね?スーツやドレスを着て行かれますよね?それと同じで和装にも正装着の着物というものがあります。その一方でカジュアル着物は観劇やお稽古事など普段に着る着物です。洋服に例えるとシーンズやワンピースみたいな着物です。まずはフォーマルとカジュアルがあるということを覚えましょう。
(フォーマル着物)
着るシーン
結婚式、成人式、入卒式、お宮参り、七五三、結納等
・振袖・・・元々はお姫様が着ていたとされる振袖。成人を迎えた際に袖の長い着物を着せ、袖を振ることで厄を払うという意味があり、女性の厄年の際の厄払いや成人のお祝いに着るお着物。成人式や結婚式などに着る為、フォーマル着物である。
・黒留袖・・・お子様の結婚式の際に、お母様が着ることの多い黒留袖。五つ紋が入り、格の高い着物であり、結婚式に主に着用されるのでフォーマル着物である。
・色留袖・・・黒留袖と似ているが、黒色だと少し重みがありすぎる為、結婚式に新郎新婦の親族が参加する際にもう少し明るい色で着るために考案された色留袖。黒ではなく、淡いピンクやブルー、クリーム色などがあり、主に身内の結婚式に着る為、フォーマル着物である。紋が入るため、訪問着より格が高く、よりフォーマル度合いが強くなる。
・訪問着・・・元々は社交着として考案され、また相手のお家に訪問する際に失礼のない着物として作られた訪問着。結婚式や入卒式、七五三、お宮参りなど、式から儀式ごとまで幅広く着れる。お嫁入り道具として持たせることが多い。カジュアルに着るには華やかすぎるので、基本フォーマル着物。※一部、柄や紬素材など普段に着れるカジュアル訪問着も存在する。
(カジュアル着物)
着るシーン
・お稽古事、観劇、美術館鑑賞、普段のお出かけ、同窓会等
もう一つのカジュアルのお着物ですが、こちらは洋服で表すと、ワンピースやジーンズに相当するものです。紬や小紋、お召しと呼ばれる着物がその着物です。※お召しは柄によってフォーマルな席に着れるものもあります。カジュアルな場所の代表的なものに、歌舞伎や能などの観劇を見に行ったり、美術館に着物で行ってみたり、お稽古事に着てみたり、同窓会に着物を着てみたりなど、いわゆる普段に着る着物のことをカジュアル着物と呼びます。
紬・・・元々、江戸時代に商人や町人が普段着として着ていた紬。織物の着物でざっくりとした風合いが多いが、中には大島紬などのツルッとした素材のものまである。全国各地に色々な産地がある。歴史として商人や町人などが着用していたということで格が低く、普段に気軽に着やすいカジュアル着物である。
小紋・・・紬と同じく、江戸時代に商人や町人が着ていた小紋。紬と違い、染め物の着物である。よく時代劇で町娘が着ている着物が小紋である。洋服に置き換えるとワンピースみたいな着物で、カジュアル着物である。
(フォーマルカジュアルどちらもいける着物)
着物には、まれにフォーマルにもカジュアルにも、帯やコーディネート次第で着ていける種類のお着物が存在します。
・付下げ訪問着・・・訪問着の柄を少なくし、左胸と左袖、上前にのみ柄が出る付下げ訪問着。付下げという名前の通り、訪問着の格を下げたお着物。フォーマルな帯をすれば式事や儀式等に着用でき、名古屋帯をすればカジュアルなシーンでも着用できる。訪問着に比べスッキリした着姿になっている。
・色無地・・・柄のない無地の着物。帯次第でフォーマルからカジュアルまで着用できる。柄がない為、スッキリしたシンプルな印象。一歩引いた席やお茶席などでも活躍する。一枚あると便利なお着物。
・江戸小紋
元々、江戸時代にお殿様の裃に使われていた柄を染めた小紋。小紋という名前からカジュアルな印象があるが、お殿様や江戸時代の各藩の紋様が使われている為、格が高く、行儀や鮫小紋など格の高い柄に限り、結婚式などのフォーマルシーンで着用することができる。結婚式の際には袋帯を着用する。
・お召し・・・糸に強い撚りをかけたお召し糸を使った織物の着物。徳川11代将軍家斉公が好き好んでお召しになったことからその名前がついたとされる。こちらも格の高い、お殿様や将軍が着用していたお着物ということで、柄によってはフォーマルシーンにも着用することができる
まとめ
これらのように着物のTPOにはフォーマルとカジュアルが存在しますが、柄や素材などによってどちらにも着用できるもの存在します。自分の持っている着物がその場に着るのに相応しいのかどうか分からない場合は、お気軽に近所の呉服屋さんに相談しましょう。またどこの着物屋に行ったらいいか分からない方は、全国の老舗呉服店が所属する日本きものシステム協同組合(JKS)の加盟店に相談するのがおすすめ。JKSなら知識の豊富なスタッフが何でもお気軽に着物のご相談にのってくれます。
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ぜひ、着物TPOを覚えて充実して着物ライフを楽しんでくださいね!